飲食店を経営していると、どうしても税金の負担が気になりますよね。ついつい節税のことばかり考えてしまいがちです。でも、やみくもに節税対策を行うのは危険です。
正しい知識を持たずに節税を行うと、逆に税務調査のリスクを高めてしまうこともあります。また、節税ばかりに気を取られて、本業の経営がおろそかになってしまうのも本末転倒です。
では、飲食店経営者はどのように節税対策に取り組めばいいのでしょうか。節税と経営のバランスを取りながら、合法的に税負担を軽減する方法はあるのでしょうか。
この記事では、飲食店経営者が知っておくべき税金の基礎知識から、具体的な節税テクニックまで、分かりやすく解説します。正しい節税の知識を身につけて、無理のない範囲で着実に税負担を減らしていきましょう。
飲食店の節税対策に悩んでいる経営者の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。きっと、明日からの経営に役立つヒントが見つかるはずです。
飲食店経営者が知っておくべき税金の種類
個人経営の場合の税金
個人事業主として飲食店を経営する場合、主に4種類の税金が発生します。まず、事業で得た利益(所得)に対して課される所得税があります。次に、市区町村に納める住民税も忘れてはいけません。さらに、年間の事業所得が290万円以上の場合は、個人事業税も発生します。飲食業の個人事業税の税率は5%と定められています。
加えて、売上に係る消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いた額を納付する必要があります。また、領収書の額が5万円以上の場合は、印紙税の対象となります。土地や家屋、固定資産を所有している場合は、固定資産税も発生します。
これらの税金の中でも、特に税額のインパクトが大きいのは所得税と消費税です。効果的な節税対策を行うためには、これら2つの税金に注目することが重要となります。
法人経営の場合の税金
法人として飲食店を経営する場合、個人事業主とは異なる税金が発生します。まず、法人の所得に対して課される法人税があります。次に、法人税の10.3%が課せられる地方法人税も忘れてはいけません。さらに、法人税額や資本金額、従業員数といった規模に基づいて決定される法人住民税も発生します。
加えて、事業所得に対して課せられる地方税である法人事業税も発生します。法人事業税の税率は都道府県によって異なるため、注意が必要です。また、個人事業主と同様に、消費税や印紙税、固定資産税も発生します。
法人経営の場合、税金の種類が多岐にわたるため、経営者は各税金の特性を理解し、適切な対策を講じることが求められます。税理士などの専門家に相談しながら、効率的な税務戦略を立てることが重要です。
飲食店の主な節税対策
青色申告の活用
飲食店を経営する個人事業主にとって、青色申告は節税対策の基本です。青色申告を選択することで、最大65万円の所得控除を受けられるほか、事業で生じた赤字を最大3年間繰り越すことができます。さらに、事業を手伝う家族や親族に支払った給与の全額を経費として計上できるのも大きなメリットです。
ただし、青色申告を利用するためには、所得税の青色申告承認申請書の提出が必要です。また、白色申告と比べて、複式簿記での記帳や仕訳帳・総勘定元帳などの保管、青色申告決算書の提出など、手間がかかる点にも注意が必要です。
とはいえ、得られる節税効果は手間以上のものがあります。飲食店経営者は、青色申告の活用を真剣に検討すべきでしょう。
経費の正確な計上
飲食店経営において、経費の正確な計上は節税対策の要です。売上から経費を引いた金額が所得となるため、経費は漏れなく計上することが重要です。特に飲食店の場合、他の事業よりも広い範囲で外食費を経費として計上できます。
通常、経費として計上できる外食費は、取引先や関係者との接待・親睦を目的とした外食のみですが、飲食店の場合は研究開発費という名目でも外食費を経費にできます。新メニューの開発やライバル店の研究などを目的とした外食であれば、一人の場合や仕事に関係ない人と一緒の外食も経費計上が可能です。
ただし、経費にできるのはあくまでも事業と関連性があり、事業に必要な支出のみです。判断に迷う場合は、税理士に相談することをお勧めします。千代田区の税理士は、飲食店経営に関する税務の専門家として、経費計上の可否についてアドバイスを提供してくれます。
共済制度への加入
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主の退職金のような制度です。掛金は月々1,000円から70,000円までの範囲で自由に設定でき、全額が所得控除の対象となります。将来への備えという意味でも、小規模企業共済への加入は検討に値します。
経営セーフティ共済
経営セーフティ共済は、取引先の倒産による経営難に備える制度です。掛金は月々5,000円から20万円の範囲で設定でき、こちらも全額が経費として認められます。取引先の倒産リスクにさらされている飲食店経営者にとって、経営セーフティ共済は心強い味方となるでしょう。
所得の分散
所得税は高所得者ほど税率が上がり、負担が重くなります。これを軽減する効果的な方法が所得の分散です。具体的には、家族従業員への給与支払いや関連会社の設立などが挙げられます。適切な所得分散によって合法的に税負担を軽減できる手法ですが、給与は適正額かつ実労働の対価であることが重要です。
不適切な分散は税務調査の対象となる可能性があるため注意が必要です。家族への給与支払いを検討する際は、税理士に相談し、適切な金額設定を心がけましょう。所得分散は強力な節税対策ですが、適切に行うことが肝要です。
法人化の検討
個人事業主として飲食店を経営している場合、所得額が大きい場合は法人化した方が節税できる可能性があります。所得税は所得額が大きくなるにつれて税率が高くなる累進課税制度ですが、法人税は利益に関係なく税率が一定です。そのため、所得額が大きい場合、法人の方が支払う税額が低くなります。
また、法人化によって、事業主本人の給与を役員報酬として経費計上できたり、退職金を損金として算入できたりするメリットもあります。ただし、損金算入のためには一定の要件を満たす必要があります。
所得が600万円を超えたタイミングで一度法人化を検討するのがおすすめです。ただし、ケースによって有利不利があるため、税理士に相談して慎重に判断することが重要です。
消費税の簡易課税制度の利用
消費税の納税額を計算する方法には、一般課税と簡易課税の2種類があります。簡易課税制度を活用することで、消費税を低く抑えられる可能性が高いというメリットがあります。
簡易課税制度では、預かり消費税額にみなし仕入率を乗じた金額を仕入税額とします。飲食業の場合、みなし仕入率は60%と定められています。売上に係る消費税額が100万円、仕入・経費に係る消費税額が40万円の場合、一般課税では納付額が60万円ですが、簡易課税では40万円になります。
ただし、簡易課税制度を選択できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合のみです。また、適用を受けるためには、課税期間が始まる前日までに消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要です。仕入および経費の額によっては、簡易課税よりも本則課税の方が有利になるケースもあるため、事前のシミュレーションが欠かせません。
節税対策を行う際の注意点
過度な節税のリスク
節税のためには、なるべく多くの経費を計上することが大切ですが、過度な節税行為はかえってデメリットとなる恐れがあります。飲食店の場合、外食費を接待交際費や研究開発費として経費計上できますが、運営する飲食店とジャンルがまったく違う店での外食や、費用の割合が大きすぎる場合は、経費性が認められない恐れがあります。
経費性が認められなければ、その分税額が増えるだけでなく、延滞税や加算税も発生します。また、経費を多く計上しようとした結果、赤字となるケースも有り得ます。赤字であれば法人税が発生しないため、一見メリットが大きく感じるかもしれませんが、赤字が続いたり赤字の額が大きい場合、金融機関からの印象が悪くなり、融資審査で不利になる恐れがあります。
節税は確かに大切ですが、過度な節税によるデメリットを避けるため、バランスをとることが重要です。
節税と資金調達のバランス
節税対策を行う際は、資金調達とのバランスにも注意が必要です。節税のために経費を多く計上し、赤字になることで法人税を抑えられたとしても、資金繰りが悪化してしまっては本末転倒です。
特に、飲食店は設備投資や材料費などの初期費用がかかるため、開業直後は赤字になりがちです。そのため、節税よりも資金繰りを優先せざるを得ない場合もあります。また、売上が安定するまでは、節税対策よりも売上アップに注力すべきかもしれません。
節税対策は長期的な視点で行うことが重要です。短期的な節税効果よりも、長期的な事業の安定性や成長性を重視し、バランスの取れた経営を心がけましょう。
まとめ
効果的な節税対策の実践と専門家への相談
飲食店経営者にとって、節税対策は重要な経営課題の一つです。青色申告の活用、経費の正確な計上、共済制度への加入、所得の分散、法人化の検討、消費税の簡易課税制度の利用など、様々な節税対策がありますが、自身の事業に合った最適な節税対策を見極めることが肝要です。
ただし、専門知識のない人が節税対策を効果的かつ正確に行うのは簡単なことではありません。節税のために行った施策のつもりが、かえって逆効果になってしまう恐れもあります。負担を最小限にしつつも確実に節税を行うためには、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
飲食店経営は、料理の質や接客サービスだけでなく、経営面での工夫も求められます。節税対策を適切に行いながら、事業を成長させていくことが、飲食店経営者に求められる重要な役割と言えるでしょう。
飲食店の節税対策のまとめ
飲食店を経営していく上で、節税対策は重要な課題の一つです。しかし、節税ばかりに気を取られすぎると、かえって経営が疎かになってしまうこともあります。飲食店経営者は、節税と経営のバランスを取りながら、適切な節税対策を行っていく必要があります。
本記事では、飲食店経営者が知っておくべき税金の基礎知識から、青色申告の活用、経費の計上、共済制度の利用など、具体的な節税テクニックについて解説してきました。節税対策を行う際は、自身の事業に合った方法を選択し、過度な節税は避けるようにしましょう。
また、専門的な知識が必要な部分もあるため、税理士など専門家に相談することをおすすめします。正しい知識を身につけて、無理のない範囲で着実に節税対策を進めていきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 税金の種類 | 所得税、法人税、消費税など |
| 青色申告の活用 | 65万円の特別控除、赤字の繰越し |
| 経費の計上 | 事業に必要な支出を漏れなく計上 |
| 共済制度の利用 | 小規模企業共済、経営セーフティ共済 |
| 所得の分散 | 家族従業員への給与支払い |
| 法人化の検討 | 所得額が大きい場合に有効 |
| 消費税の簡易課税制度 | みなし仕入率の活用 |
| 注意点 | 過度な節税は避ける、専門家に相談 |
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