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法人成り後に個人事業主を廃業しない場合のデメリット

法人成り後に個人事業主を廃業しない場合のデメリット コラム

「法人成りをしたけど、個人事業主の廃業手続きって本当に必要なの?」
「法人と個人事業主を両方残しておくデメリットってあるの?」
このように、法人成りを検討中の方や法人成り後に個人事業主として活動を続けている方は、廃業手続きに関して悩みを抱えているのではないでしょうか。

法人成りは、事業の発展や節税対策などのメリットを目的に行われますが、個人事業主の廃業手続きをしないままでいると、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

本記事では、法人成りと個人事業主の廃業手続きについて、メリットとデメリットを交えながら詳しく解説していきます。法人成り後の個人事業主としての活動や税務処理、失敗事例から学ぶべき教訓など、実践的な情報が満載です。

法人成りを検討中の方も、すでに法人成りをされた方も、ぜひ本記事を参考にして、スムーズな廃業手続きと適切な法人運営を目指してください。きっと、あなたの悩みや不安が解消されるはずです。

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法人成りと個人事業主の廃業手続き

① 法人成りとは何か

法人成りとは、個人事業主が新たに会社を設立し、個人事業で培ってきた資産や負債、事業内容などを新設会社に引き継ぐことを指します。法人成りは、事業の規模拡大や信用力の向上、節税対策などを目的として行われることが多いのです。

法人成りの際には、個人事業主から法人への事業譲渡が行われます。この事業譲渡には、資産と負債の引継ぎが含まれます。引き継ぐ資産には、現金預金、売掛金、棚卸資産、固定資産などがあります。一方、引き継ぐ負債には、買掛金、借入金などがあります。

また、法人成りには様々な手続きが必要となります。会社設立登記、個人事業の廃業届の提出、各種許認可の申請など、スムーズに進めるためには綿密な準備が欠かせません。個人事業主として取得していた許認可は、法人成り後の法人には基本的に引き継がれないため、法人名義で新たに許認可を取得する必要があります。専門家のアドバイスを受けながら、計画的に進めていくことが重要でしょう。

② 廃業手続きの必要性

法人成りをする際、多くの場合は個人事業主としての廃業手続きが必要となります。廃業届を提出しない場合、税務署は個人事業の廃止を認識できず、個人事業主としての納税義務が継続しているとみなされる可能性があります。これにより、不要な税務申告や納税義務が発生するリスクがあるためです。

個人事業主の廃業手続きには、税務署への届出が不可欠です。具体的には、個人事業の開業・廃業等届出書の提出が求められます。この届出書によって、税務署は個人事業主としての活動が終了したことを把握し、以後の税務処理に反映させることができるのです。

また、個人事業主として消費税の課税事業者であった場合、消費税の納税義務も生じます。法人成りに伴って消費税の課税事業者でなくなる場合は、速やかに消費税の廃業届出書を提出しなければなりません。これを怠ると、予期せぬ税務上のトラブルを招く可能性があります。

③ 廃業届の提出タイミングと注意点

廃業届の提出タイミングについては、原則として事業を廃止した日から1ヶ月以内とされています。ただし、提出が遅れると税務署が事業廃止を認識できず、個人事業主としての納税義務が継続しているとみなされる可能性があります。これにより、不要な税務申告や納税義務が発生するリスクがあるため、注意が必要です。実務上は法人設立日の前日を廃業日とするケースが多く見られます。これは、個人事業と法人の事業期間が重複しないようにするためです。

廃業届の提出先は、個人事業主の納税地を管轄する税務署となります。提出方法は、税務署の窓口に直接持参するか、郵送で送付するかのいずれかを選択できます。ただし、郵送の場合は、廃業届の控えが返送されてこないことにも留意が必要でしょう。

また、廃業届の提出にあたっては、添付書類の準備も欠かせません。青色申告を行っていた場合は「所得税の青色申告承認取消届出書」の提出が、所得税の予定納税の対象であった場合は「所得税の予定納税額の減額申請書」の提出が必要となります。書類の不備がないよう、しっかりと確認しておくことが大切です。

個人事業主を廃業しないまま法人成りするメリットとデメリット

① 廃業しない場合のメリット

個人事業主を廃業せずに法人成りを行う場合、いくつかのメリットが考えられます。そのひとつが、青色申告の特典を引き続き享受できる点です。個人事業主として青色申告を続けることで、青色申告特別控除(最大65万円)を受けられるほか、仮に赤字が出た場合でも、損失の繰越控除が可能となります。

また、個人事業主として不動産所得がある場合も、法人成りと同時に廃業してしまうとその恩恵を受けられなくなってしまいます。不動産所得を維持することで、将来的な節税効果や資産形成につなげることができるでしょう。

さらに、複数の事業を営んでいる個人事業主の場合、一部の事業だけを法人化し、残りの事業は個人事業主として継続することも可能です。これにより、リスク分散を図りつつ、状況に応じて柔軟な経営判断を下すことができるようになります。

② 廃業しない場合のデメリット

一方で、個人事業主を廃業せずに法人成りを行うことには、デメリットも存在します。法人と個人事業の両方で事業を継続する場合、それぞれで帳簿の作成や税務申告が必要となり、事務処理の負担が増大します。また、税理士に依頼する場合の費用も増加する可能性があります。

加えて、法人と個人事業主それぞれに税金がかかることから、トータルの税負担が重くなる恐れもあります。法人税、個人住民税、事業税など、支払うべき税金の種類が増えることで、手元に残るキャッシュが減ってしまう可能性が高いのです。

また、個人事業主として事業を継続する以上、事業用の許認可も引き続き必要となります。法人としても別途申請が必要なケースがあるため、余計な手間とコストが発生してしまいます。メリットとデメリットを天秤にかけ、慎重に判断することが求められます。

③ 法人と個人事業の掛け持ちの影響

法人と個人事業主を並行して運営する場合、様々な影響が生じ得ます。特に、法人成り後に個人事業主として同一の事業を継続することは、税務上問題視される可能性があります。意図的な所得分散とみなされ、税務調査の対象となるリスクが高まります。事業内容を明確に区分し、適切な経理処理を行うことが求められます。

また、法人と個人事業主との間の取引については、常に公正な条件で行わなければなりません。利益相反取引への該当リスクに注意が必要です。

加えて、取引先の混乱を招くことも考えられます。法人と個人事業主、どちらと取引すればよいのか判断に迷う取引先もいるでしょう。トラブルを未然に防ぐためにも、両者の違いを明確に説明し、理解を得ておく必要があります。

法人成りの最適なタイミングと注意点

① 法人成りの決断ポイント

法人成りを検討する際、どのタイミングで実行に移すかは非常に重要な判断ポイントとなります。一般的には、個人事業の売上高が安定的に推移し、ある程度の利益を計上できるようになった段階が法人成りのタイミングと言えるでしょう。

法人化のメリットを最大限に享受するには、ある程度の事業規模が求められます。従業員を雇用したり、設備投資を行ったりと、法人ならではの経営施策を打つことで、さらなる事業の拡大を目指すことができるからです。

一方で、法人化には費用もかかります。登記費用や定款作成費用など、初期費用だけでも数十万円単位の支出が必要となります。赤字続きの個人事業を法人化しても、かえって資金繰りが苦しくなってしまう恐れがあることに留意が必要です。

② タイミングによる税務上の影響

法人成りのタイミングによって、税務上の影響も変わってきます。決算期を適切に設定することで、節税効果を高められる可能性があるのです。

例えば、個人事業の決算月が12月、法人の決算月を3月に設定した場合、法人化初年度は15ヶ月決算となります。法人税の計算上、赤字決算となる可能性が高くなるため、2期目以降に繰越控除を活用できるメリットがあります。

一方で、法人化した年に設立費用や開業費用など、多額の経費が発生する場合は、個人事業の黒字決算時に支払うのがベターと言えます。法人化後は損金算入できないこれらの費用を、個人事業の必要経費とすることで節税につなげられるからです。

③ 助成金や補助金の活用方法

法人成りのタイミングを検討する際は、活用できる助成金や補助金の存在もチェックしておきたいポイントです。法人設立を後押しする制度を有効活用することで、初期費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

例えば、国や自治体が実施する創業支援事業では、法人設立に係る費用の一部を助成する制度が設けられています。申請要件を満たせば、数十万円規模の支援が受けられるケースも少なくありません。

また、事業内容によっては、業界特化型の補助金が用意されていることもあります。環境対策や福祉関連、IT化の推進など、国が重点的に支援する分野の事業であれば、高額の補助金を獲得できるチャンスがあります。専門家の知見も借りながら、適切な助成金・補助金の選定を進めていくとよいでしょう。

法人成り後の個人事業主としての活動と税務処理

① 法人と個人事業の同時運営

法人成り後も個人事業主として活動を続ける場合、法人と個人事業それぞれの事業を明確に区分し、適切に運営していく必要があります。同一事業を法人と個人で行うことは、原則として認められていないためです。

例えば、法人の事業で使用する資産と個人事業の資産は、明確に分けて管理しなければなりません。法人の経費を個人の必要経費とするなど、恣意的な処理を行えば、脱税行為とみなされる恐れがあります。

また、法人と個人事業を同時に運営する場合、取引先が混乱する可能性があります。どちらと取引すべきか判断に迷う取引先もいるため、事業の区分を明確にし、取引先に適切な説明を行うことが重要です。

② 税務申告の違い

法人成り後、個人事業主としての確定申告は引き続き行わなければなりません。ただし、法人の決算とは異なる時期に行う点には注意が必要です。

個人事業主の場合、原則として1月1日から12月31日までを課税期間とし、翌年3月15日までに確定申告を行います。一方、法人の決算期は事業年度に応じて設定されるため、個人の申告時期とは異なります。

また、法人の役員報酬は、個人の申告では給与所得として取り扱われます。個人事業の所得とは別に、給与所得の金額を計算し、申告する必要があります。法人と個人、それぞれの立場で適切な税務処理を行うことが求められます。

③ 収支管理と税理士の役割

法人と個人事業を同時に運営する場合、収支管理の重要性が一層高まります。法人と個人の資金を明確に区分し、適切な帳簿づけを行わなければ、税務上のリスクが高まってしまうのです。

特に、法人から個人への貸付金や、個人から法人への資産の貸与など、両者間の金銭の移動については慎重に処理する必要があります。公正な条件で取引が行われていることを、客観的な証拠をもって示せるようにしておくことが大切です。

こうした収支管理の複雑さを考えると、税理士の存在は欠かせません。法人と個人のそれぞれについて、適切な税務処理を行うためのアドバイスを受けられるからです。定期的に税理士とコミュニケーションを取り、収支状況を確認してもらいながら、適切な経理処理を進めていくとよいでしょう。

法人成りに関するよくある後悔とその回避策

① 後悔しやすいポイント

法人成りを行ったものの、思っていたような効果が得られず、後悔してしまうケースは少なくありません。その代表的な例が、税務メリットの過大評価によるものです。

法人化すれば節税になると単純に考え、法人成りを急ぐあまり、肝心の事業計画や資金計画が甘くなってしまう事例が見受けられます。法人化後の業績が伸び悩み、期待していた節税効果どころか、赤字決算に苦しむハメになってしまうのです。

また、法人化によって事務処理の負担が増えることを見落としがちなのも、後悔につながる大きな要因と言えます。決算業務や税務申告など、個人事業では意識しなくて済んだ煩雑な手続きに、多くの時間を取られてしまうことになります。本業に集中できなくなった結果、業績が落ち込んでしまうこともあるのです。

② 失敗事例と学ぶべき教訓

法人成りの失敗事例の多くは、メリットばかりを強調するあまり、デメリットへの考慮が不十分だったケースに集中しています。ある小売業者は、法人化直後に多額の設備投資を行い、キャッシュフローが一気に悪化。資金繰りに窮し、廃業を余儀なくされてしまいました。

こうしたケースからは、法人化後のビジネスプランをしっかりと練っておく重要性が浮き彫りになります。売上予測や資金計画など、数字に基づいたシミュレーションを綿密に行い、その上で法人化のメリットとデメリットを冷静に比較検討する。そうした地道なプロセスを踏まえずに法人成りを決断するのは、非常に危険だと言えます。

また、専門家の助言を仰ぐことの大切さも、失敗事例から読み取れる教訓です。税理士や中小企業診断士など、法人経営に明るい専門家は、法人化のメリット・デメリットを客観的に指摘してくれます。安易な法人成りを思いとどまらせ、適切なアドバイスで事業者を導いてくれる存在なのです。

③ 税理士と相談して進める方法

法人成りを検討する際は、ぜひ税理士に相談することをおすすめします。税理士は、法人化のメリットとデメリットを、税務の観点からわかりやすく説明してくれる心強い味方だからです。

まずは、現在の事業規模や将来の経営ビジョンを率直に税理士に伝えましょう。すると税理士は、法人化した場合のメリットとデメリット、想定される節税効果などを具体的に示してくれます。事業者の立場に立って、客観的にアドバイスしてくれるのです。

加えて、税理士は法人化のスケジュールや必要な手続きについても、丁寧に説明してくれます。行政書士との連携が必要な登記手続きから、定款の作成、株主総会の運営方法に至るまで、ワンストップでサポートしてもらえるのが心強いポイントです。

このように、税理士とタッグを組んで法人成りを進めることで、スムーズかつ適切な法人化が実現できます。ビジネスパートナーとして税理士を迎え入れ、持続的な企業価値向上を目指していく。それが、法人成りを成功に導く王道と言えるでしょう。

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法人成りと個人事業主の廃業手続きのまとめ

今回は、法人成りをする際の個人事業主の廃業手続きについて、詳しくお伝えしてきました。法人成りと同時に個人事業主を廃業しないメリットもありますが、税務申告の煩雑さや税負担の増加など、デメリットについても見落としてはいけません。

また、法人成りのタイミングについては、売上高が安定し利益を計上できるようになったら検討するのがよいでしょう。助成金や補助金の活用も視野に入れながら、慎重に判断することが大切です。

法人成り後に個人事業主としての活動を続ける場合は、法人と個人事業の収支を明確に区分し、税理士の力を借りながら適切に処理していくことが求められます。安易な法人成りは失敗のもとになりかねませんので、専門家のアドバイスを受けながら進めていきましょう。

項目 ポイント
法人成りとは 個人事業から法人へ事業を引き継ぐこと
廃業手続きの必要性 二重課税のリスクや各種届出の懈怠を防ぐため
廃業届の提出タイミング 事業廃止日から1ヶ月以内
個人事業主を残すメリット 青色申告の特典や不動産所得の維持など
個人事業主を残すデメリット 税務申告の煩雑さや税負担の増加など
法人成りの最適タイミング 売上高が安定し利益を計上できるようになったら
法人成り後の個人事業主の活動 法人と個人事業の収支を明確に区分し適切に処理
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