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民商と税理士法違反の関係

民商と税理士法違反の関係 コラム

民商に関わる税務相談活動をめぐって、税理士法違反との関係が問題となることがあります。会員同士で助け合って確定申告をすることは本当に違法なのでしょうか。
民商の税務支援活動は、申告納税制度の理念に沿った納税者の自主的な取り組みと言えるのではないでしょうか。

一方で、税理士法の定める税理士業務の独占規定との関係では、慎重な議論が必要です。民商の活動をどう評価し、税理士との協力関係をどう築いていくべきか。

本記事では、民商と税理士法の関係について、具体的な事例を交えつつ多角的に考察します。民主主義社会における納税者の権利のあり方を考える上で、示唆に富む内容となっています。ぜひご一読ください。

>>民商が支援する税務調査の注意点

民商(民主商工会)とは

組織の概要と目的

民商とは、正式名称を民主商工会と言い、主に中小企業や自営業者で構成される経済団体のことを指します。1947年に設立され、現在では全国に約400の民商組織があり、会員数は約30万人にのぼります。千代田区にも民商の支部があり、地域の中小事業者や自営業者を支援しています。

民商の目的は、中小企業や自営業者の経営を守り、その権利を擁護することです。そのために、税金問題や金融問題、労働問題など、中小企業が直面する様々な課題について、相談活動や学習活動、要請活動などを行っています。千代田区の税理士事務所と連携して、税務相談会なども開催しています。

また、民商は単に経済的な活動だけでなく、平和や民主主義、人権の擁護といった社会的な活動にも取り組んでいます。戦後の混乱期に設立された経緯もあり、社会的な公正さを追求する姿勢が組織の根幹にあると言えるでしょう。

主な活動内容

民商の主な活動として、まず挙げられるのが各種相談活動です。税務や経理、融資、労務管理など、中小企業経営に関わる様々な悩みについて、専門家による相談を受けることができます。会員同士の情報交換の場としても機能しています。千代田区の民商でも、税理士による無料相談会を定期的に実施しています。

次に、学習活動も民商の重要な活動の一つです。経営に役立つ実践的な講座から、憲法や平和、人権といった社会問題に関する学習会まで、幅広いテーマで開催されています。会員の知識向上と意識啓発を目的としています。

また、民商は中小企業の権利を守るための要請活動も積極的に行っています。税制や金融、社会保障制度などについて、中小企業に有利な政策を求めて国や自治体に要請するとともに、世論喚起のための宣伝活動なども展開しています。

その他、地域の祭りへの参加や清掃活動など、地域に根差した社会貢献活動も各地の民商で行われています。中小企業家同士のつながりを深めると同時に、地域社会との共生を図る取り組みと言えます。千代田区の民商も、地元の祭りや清掃活動に積極的に参加しています。

税理士法の基本

税理士業務の範囲

税理士法では、税理士または税理士法人でない者が税理士業務を行うことを禁止しています。税理士業務とは、税務代理、税務書類の作成、税務相談の三つを指します。千代田区の税理士事務所では、これらの業務を適切に行うために、日々研鑽を積んでいます。
>>千代田区の税理士で経営者サポート

税務代理は、税務官公署に対する申告、申請、請求、不服申立てなどを行うことを言います。税務書類の作成は、税務代理の事項に関する書類を作成することです。そして税務相談は、税務代理や税務書類作成に関連して、専門的知識に基づく判断や意見を述べることを指します。

これらの業務を行うためには、原則として税理士資格が必要とされています。税理士資格は、税理士試験の合格者や一定の実務経験のある税務職員等に与えられます。資格なく税理士業務を行った場合、税理士法違反として罰則の対象となります。千代田区の税理士は、資格を持った専門家集団です。

ただし、例外規定もいくつか設けられています。例えば、本人が自ら行う場合や、法令の規定により他の資格者に認められている場合、一定の親族のためにする場合などは、非税理士でも税理務を行えることがあります。

税理士法第52条の規定

税理士法第52条は、税理士または税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならないと規定しています。同条1項では、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と明記されています。

この条文の意味するところは、税理士または税理士法人以外の者が、税務代理、税務書類の作成、税務相談を業として行ってはならない、ということです。いわば税理士の職域を守るとともに、納税者の利益を保護する趣旨の規定と言えます。千代田区の税理士も、この規定を守り、適切な業務を行っています。

ただし、先述の通り、同法には52条の例外規定もいくつか設けられています。52条の2では、一定の親族の税務を行う場合の非税理士による業務を認めています。52条の3では、税理士又は税理士法人の補助者が一定の業務を行うことを認めています。

また、53条では、他の資格者等に認められている税務書類作成等の例外規定を置いています。54条以下は、非税理士による脱税相談等の禁止規定となっています。このように52条の規定は、関連規定と合わせて理解することが求められます。

民商と税理士法違反の関係

倉敷民商事件の概要

民商と税理士法の関係を考える上で、重要な判例とされるのが倉敷民商事件です。この事件は、1966年に岡山県倉敷市の民商会員による税務申告の手伝いが、税理士法違反に当たるかが争われた裁判です。千代田区の税理士事務所でも、この事件について学ぶ機会があります。

この事件の発端は、倉敷民商の会員が、他の会員から頼まれて確定申告書の作成を手伝ったことにあります。これに対して岡山税理士会が税理士法違反だとして告発し、会員とともに民商そのものも同法違反の幇助として起訴されました

倉敷簡易裁判所では、1968年に一審判決が出され、民商職員2名に対し、懲役10ヶ月、執行猶予3年の判決が下されました。被告側は、憲法の思想良心の自由(19条)や集会結社の自由(21条)に反するとして控訴。広島高等裁判所も有罪判決を出しました。

最高裁判所に上告された後、1974年、最終的に上告が棄却される形で民商側の敗訴が確定しました。この事件は、その後の民商の税務相談活動に大きな影響を与えることになります。

事件の経緯と判決内容

この事件の第一審判決は1968年に出されました。倉敷簡裁は、民商会員が行った行為は税理士法で禁止されている税理士業務に該当すると判断。民商については、報酬を得ていた事実はないものの、会員の行為を助長したとして有罪としました。

控訴審の広島高裁でも、1970年に原判決が支持されました。税務書類を作成、添削して税務署に提出することは税理士法の定める税理士業務であり、無資格者が反復継続して行えば処罰対象になるというのが判決の理由でした。

これに対し、上告審の最高裁は1974年、上告棄却の決定を下しました。決定理由では、多数意見として、税理士法52条は国民の経済生活の秩序維持、脱税行為の防止等を目的とした必要かつ合理的なものであり、違憲ではないとされました。

他方、裁判官の1人から少数意見も示されました。ここでは、税金は国民が国家の共同生活の費用として負担するものであり、国民の協力なくして適正な賦課徴収は期しがたいこと、申告納税制度の下では互いに助け合うことが必要不可欠であることが指摘されました。

判決を受けて、民商など各地の商工団体では申告指導を取りやめる動きが広がりました。一方で、この判決に対しては批判も少なくなく、その後も民商などによる税務相談活動は各地で模索が続けられることになります。千代田区の税理士事務所でも、この判決について議論が行われました。

民商の税務相談活動の現状

自主申告運動の意義

民商が各地で取り組んできた税務相談活動は、一般に「自主申告運動」と呼ばれてきました。これは、国民の申告納税義務を果たすことを支援する運動であると同時に、税制の民主化を求める運動でもあったと言えます。千代田区の税理士事務所でも、この運動の意義について考えることがあります。

申告納税制度とは、納税者が自ら所得金額や税額を計算して申告し、納税する制度のことです。日本では所得税や法人税などについて、この制度が採用されています。この制度の下では、納税者の自主性や理解が前提とされます。

しかし現実には、税法の複雑さなどから、納税者が単独で適正な申告を行うのは容易ではありません。とりわけ中小業者の場合、税務の専門知識を持つ職員を雇用することも難しい状況にあります。

そうした中で、納税者が互いに助け合い、学び合いながら確定申告に臨む。これが民商の自主申告運動の基本的な考え方でした。もちろんそこには、税制の複雑さを改め、中小業者にも分かりやすく公平な税制を作るという、制度改革の視点も含まれています。

民商の自主申告運動は、前述の倉敷民商事件の影響もあって、税理士法との関係が問題とされることが少なくありませんでした。しかし、憲法の定める申告納税主義の理念に照らせば、納税者の自主的な努力と協力は、むしろ奨励されるべきものと言えるかもしれません。千代田区の税理士も、こうした観点から民商の活動を見つめ直す必要があるでしょう。

税務相談停止命令制度の導入と影響

倉敷民商事件の最高裁判決を受けて、1980年代以降、民商など各地の商工団体による税務相談活動は縮小する傾向にありました。さらに、2004年に導入された「税務相談停止命令制度」が追い打ちをかける形になります。

この制度は、財務大臣が税理士でない者に対して、反復継続して特定の納税者に税務相談を行い、納税義務の適正な実現に重要な影響を及ぼす恐れがあると認められる場合、その者に税務相談の停止を命令できるというものです。具体的には、非税理士が脱税助言や架空経費の指南など、納税者を税法違反に導くような行為を繰り返した際に、制度の対象になります

しかし、この制度には当初から批判がありました。停止命令の要件が不明確だったり、恣意的な運用の恐れがある点などが問題視されたのです。また、適切な相談活動まで萎縮させ、納税者の支援を受ける権利を阻害するおそれも指摘されました。

制度導入後、各地の税務署から民商に相談活動の中止を求める動きが見られました。民商としても、倉敷事件判決の枠組みを前提に、「書類添削」は行わない一方、講習会の開催や一般的な助言は継続する、といった対応をとるようになります。

税理士会などからは、民商の活動は依然として税理士法に抵触するとの指摘もありました。他方、学者などからは、憲法の観点から民商の活動を評価する声も根強く聞かれました。このように、税務相談活動をめぐる議論は、現在も止むことなく続いていると言えます。千代田区の税理士事務所でも、この問題について考えを深めています。

税務調査における民商担当者の立ち会い問題

税理士資格の有無と立ち会いの可否

民商と税理士法をめぐるもう一つの論点が、税務調査における民商担当者の立ち会い問題です。税務調査とは、税務署の職員が納税者を訪問し、帳簿書類などを調べる手続きのことを指します。千代田区の税理士事務所では、この調査に際して納税者の権利を守るためのサポートを行っています。

この調査に際して、納税者は税理士など一定の専門家を立ち会わせる権利を認められています。これは納税者の権利を守る上で重要な意味を持ちます。しかし、民商の担当者に税理士資格がない場合、その立ち会いが税理士法違反に当たるかどうかが問題になります。

この点について、国税当局は基本的に、無資格者の立ち会いは税理士法違反に当たるとの立場をとってきました。税理士法第2条が税務代理を税理士の業務と定めている以上、非税理士の調査立ち会いもその一環として違法だというわけです。

他方、民商側は、調査立ち会いは単なる事実確認行為であり、税法の解釈適用を伴う税務代理行為とは異なると主張してきました。すなわち、非税理士の立ち会いは税理士法に抵触しない、との立場です。

国税不服審判所や裁判所の中には、民商側の主張を一定程度認める判断も見られます。例えば、1980年の国税不服審判所の裁決では、税理士でない者の調査立ち会いは一律に税理士法違反とは言えないとの判断が示されました。

ただ、その後の裁判例を見ると、調査の具体的状況によって判断が分かれる傾向にあります。単に事実関係を確認するだけでなく、税法上の主張を行ったり、交渉を行ったりした場合などは、税務代理に当たると評価されやすいようです。

こうした中、近年では民商側も、調査時の発言には注意を払うなどの慎重な対応をとるようになってきました。とはいえ、税理士でなければ納税者に同行できないというのは、納税者の権利保護の観点からは問題が残るところです。千代田区の税理士事務所でも、この問題について研究が進められています。

税務調査官の判断と対応

実際の税務調査の場面では、同行者の立ち会いの可否は、担当の税務調査官の判断に委ねられることになります。その際、調査官は通常、同行者の税理士資格の有無を確認した上で、立ち会いを認めるかどうかを決めます

無資格者の立ち会いを認めた場合、調査官自身が税理士法違反の幇助を問われるおそれもあるため、慎重な対応が求められます。ただ、一律に立ち会いを拒否するのではなく、民商担当者の役割や発言内容を見極めた上で、柔軟に判断することも必要でしょう。

他方、調査官が無資格者の立ち会いを拒否した場合、納税者側はどのように対応すべきでしょうか。この場合、まずは粘り強く交渉し、担当者が税法の解釈に踏み込むことなく事実確認に徹することを約束する、などの歩み寄りを試みるべきと言えます。

それでも拒否された場合は、調査の際の担当者の同席を断念し、後日、民商の担当者と一緒に税務署を訪問して説明する、などの方法を取ることになるでしょう。いずれにしても、冷静かつ真摯な対応を心がけることが肝要です。

納税者の権利を守りつつ、税務当局との建設的な関係を保つ。これは民商の税務相談活動に求められる重要な視点と言えます。同時に、そのためにはやはり、民商の担当者自身が税法などについて一定の知見を備えることが必要不可欠なのかもしれません。千代田区の税理士事務所では、こうした観点から民商との連携のあり方を模索しています。

納税者の権利と自主申告の重要性

申告納税制度の意義

ここまで民商をめぐる税務問題について見てきましたが、それを通じて浮かび上がるのは、申告納税制度の意義と重要性についてです。申告納税制度とは、国民が自ら所得金額などを計算し、申告・納税する制度のことを指します。千代田区の税理士事務所では、この制度の適切な運用を支援しています。

この制度の下では、国民一人ひとりが自ら税法に向き合い、課税関係を確定させていく責任を負うことになります。それは時に、複雑で難解な税法の理解を求められるなど、国民にとって大きな負担とも感じられます。

しかし見方を変えれば、この制度は国民の税務への主体的な参加を可能にするものでもあります。自らの経済活動を振り返り、社会に対する貢献度合いを考える機会にもなり得るのです。申告納税制度は、国民主権や民主主義の理念にも通じる重要な仕組みだと言えます

だからこそ、国民が安心して自主申告に臨めるような環境を整備することが重要になってきます。恣意的な税務調査や過度な処罰の危険は排除されねばなりません。同時に、国民が税の仕組みを学び、理解を深められるよう、教育や広報にも力を入れる必要があります。

申告納税制度の意義を踏まえれば、納税者の自主的な取り組みを支援する民商の活動にも、一定の積極的な評価を与えることができるかもしれません。もちろん、税理士法の趣旨にも十分に配慮しつつ、納税者の権利が実質的に守られるような仕組みを作っていくことが求められます。

納税者同士の助け合いと法的リスク

納税者の自主申告を支えるものとして、納税者同士の助け合いの精神もまた重要な意味を持ちます。とりわけ中小事業者の場合、専門家に頼ることなく仲間と力を合わせてできることは少なくありません。千代田区の税理士事務所でも、こうした納税者の協力関係を支援しています。

例えば、確定申告書の書き方や税法上の取扱いなど、経験者が初心者にアドバイスを送る。あるいは、お互いの事業状況を理解し、適正な経費計上の方法を学び合う。そうした草の根の取り組みが、申告納税制度を下支えしてきた面があります。

しかしその一方で、先に見た通り、無資格者による税務相談には法的なリスクもつきまとうのが現状です。適切な助言のつもりでも、税理士法違反に問われる可能性は常にあると言わざるを得ません。これでは、萎縮効果によって納税者相互の支援の芽が摘まれてしまう恐れもあります。

納税者の自主的な取り組みを奨励しつつ、同時にそれが適切な形で行われるよう、税理士会など専門家の協力を仰ぐ。さらに、納税者の税法学習の支援に力を注ぐ。そうした多面的な取り組みの積み重ねが、納税者の権利を実質化するために不可欠なのかもしれません。

納税は国民の義務である一方、国民主権の理念に照らせば、それを自発的に果たすことができる環境を整えることは国家の責務とも言えます。民商の活動の意義を考える上でも、こうした視座を私たちは忘れてはならないでしょう。千代田区の税理士事務所では、こうした観点から納税者の支援に取り組んでいます。

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